【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
たらりと背中を伝う冷や汗。
後ろには壁、前には不機嫌さMAXの辻
宮というこの状況は、どう考えても危機
にしか思えなかった。
「あ、あ、あの……」
「……なんで俺がこんなことしてるか、
わかってんの?」
ジロ、と私を見下ろしながらそう言い捨
てる辻宮。
「えーっと……」
「わかんないんだろ」
……すいません、わかりません。
ぐ、と言葉に詰まりながら目を逸らすと
、そうはさせまいというように、顎を掴
まれて、クイッと上へと持ち上げられた
。
間近で絡み合う視線。
それだけで、胸がドキドキしてきた。