【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「お互いがお互いに可愛いだとかカッコ
いいだとか誉めあって、あれがイチャイ
チャじゃないだと?」
「だって、それは……」
「お前、俺には滅多にカッコいいとかい
わないくせに……」
悔しそうに眉を潜めた辻宮が、不意に、
私の首筋に唇をくっ付けた。
「ちょ……んっ」
その刹那、首筋にピリッと生じた痛み。
なんだったんだろうと思っていたら、も
う辻宮の唇は、離れていて。
「お前は俺のだって事、忘れんな」
真剣な瞳で私を見つめながら、そう言っ
た。
……忘れるわけ、ないのに。
日々を重ねていくごとに、目を背けたい
くらい、頭も心も、辻宮に染められてい
く。
他の人のことなんて……考える暇もない
もん……。