【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
紀藤は呟くようにそう言ってから、俺を
見上げた。
「柊のこと、幸せにしてやれよ」
そう言った紀藤は、俺の肩をポン、と叩
いてから、その場を去っていった。
……なんだよ。
宣戦布告とか、すんのかと思った……。
好きなのに、そんなすぐに諦められるの
かよ、と腑に落ちないけれど。
美里が俺のものなら、なんでもいいと思
った。
されないと思っていた宣戦布告は、翌日
された。
「お兄ちゃんと勝負しなさい!」
───紀藤妹に。