【完】狼ご主人様と子羊ちゃん




思わず漏れた言葉は少しだけ本音で、声
も低くなってしまった。



美里の目が大きく見開かれ、そして、怪
訝そうに細められた。



「なんで斗真が出てくんの」


「いいから答えろよ」



美里が紀藤の事を、"斗真"って呼び捨て
してるだけでムカつく。



「そんなわけ……ないもん」


「じゃあなんで俺と付き合ってるの?」



そう訊くと、恥ずかしそうにうつむく美
里。



そんな美里の頬に手を伸ばし、優しく撫
でてやった。



「……言えよ」



そう囁くように呟けば、目をうるうるさ
せた美里が、困ったように俺を見上げて
きたから、心臓が跳ねる。






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