【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「辻宮……ちょっといいか?」
放課後、美里を連れて帰ろうと思ってい
たら、やけに真剣な面持ちで、紀藤が俺
の所にやって来た。
少し胸のざわつきを覚えながらもそれに
頷くと、連れてこられたのは空き教室。
俺は近くにあった机に腰かけながら、ず
っと黙っている紀藤を見た。
「何だよ」
そう先を促せば、紀藤が俺を見つめて。
「俺……やっぱり柊が好きだ」
と言った。
別に驚かなかった。やっぱりな、って感
じ。
そうそう好きになった女、手放せる訳が
無いんだから。
「梨子には友達でいいって言ったんだけ
ど……やっぱり、このままじゃ嫌だから
、せめて気持ち伝えようと思って」
「それで?」
「柊と……デートするから、俺」