【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
◇休日、雰囲気の違う君。
今日は辻宮と帰ろうとしたら、珍しく、
斗真が辻宮を誘ってどこかに行ってしま
った。
「あの時の斗真、やけに真剣だったなぁ
……」
自分の部屋のベッドに横になって、天井
を見つめながらそう呟いた。
いつもニコニコ笑ってるのに……何か、
あったのかな。
そんなことを考えていたら、ケータイが
鳴った。
「えっ!?」
サブディスプレイに表示されたのは、な
んと辻宮の名前で。
辻宮から電話なんてあんまり無かったか
ら、少し緊張してきてしまう。
「はい、もしも───」
『美里』
通話ボタンを押したとたん、流れてきた
その声がすごく低くて。
思わずピキ、と固まってしまう。