【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
■触れた本心■
◆重なる波乱、痴漢の手。
ーー波乱、というものは。生きていれば必ずどこかで出会うものかもしれない。
それは良い波乱かもしれないし、悪い波乱かもしれない。
けど。
こう、何度も悪い波乱がおきては、さすがの私だってたまらない。
ーーーああ。今すぐ回し蹴りをしてやりたい。
満員電車の中、私はそんな思いと葛藤していた。
自分のお尻をさ迷う手が、気持ち悪くて仕方ない。
けれど満員電車の中で、回し蹴りをお見舞いするのはみっともないし、かといって叫ぶのも恥ずかしい。
ああ~……もう!!
だんだんと、そいつの手の動きが激しくなって、ぞわぞわっと鳥肌が立った。