【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
返事もしてないのに、辻宮はそう言うと
、私の腕を引っ張って、車に乗せた。
ふわふわ、ふわふわ。
なんだろう。夢見心地っていうの?
「これ……夢?」
「現実だアホたれ」
後から乗り込んできた辻宮にそう言われ
、さらに軽く頭を小突かれて、ようやく
我に返る。
「お前、ボーッとしすぎだぞ」
「や、だって……」
そう簡単に、同居するぞって言われて、
頷ける?……無理。
「……親父に会うのは、明日でいい。今
日はゆっくりしろ」
あ、そうだ!
辻宮のお父さんに会うんじゃん!……は
ぁ、今から緊張してきちゃった。
はぁぁ、と項垂れるように車の壁にもた
れ掛かると、辻宮が渋い顔をして、