【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「おい」と横から手を伸ばして、私の頬
をつねってきた。
「痛い痛い!なにすんの!」
つねられた箇所を手で覆って、涙目で辻
宮を見上げると、辻宮に触れるだけのキ
スをされた。
「ちょ……っばか!」
こんなとこで…。見境ないにも、程があ
るでしょ!
「───親父に何を言われても、気にす
るな」
「……は?」
「お前は俺のモノだ。俺の言うことだけ
聞いてれば良いんだからな」
なにその俺様発言、といつもみたいにバ
カに出来なかったのは……。
辻宮が、あまりに真剣だったから。
「……なに、それ」
そう訊ねてみても、辻宮はそれ以上何も
いってくれなかった。