【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「───辻宮様、到着致しました」
山道を抜けて、しばらくすると到着した
辻宮家は、やっぱり嫌味なくらいに大き
なお屋敷。
今さらだけど……ほんっとーに今さらだ
けど、同居なんてしちゃってもいいんだ
ろうか……。
「美里、行くぞ」
「あ、……うん」
ぐい、と手を引かれて、そのままお屋敷
へと踏み込む。
そして……。
「……あれ、辻宮、自分の部屋に寄るの
?」
辻宮に引っ張られていくと、その道が辻
宮の私室への道だということに気付いて
そう言うと、こっちを振り返った辻宮が
怪訝な表情を浮かべた。
「当たり前だろ」
「へ?」
「お前の部屋にもなるんだから」