【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
はぁ?というドスの効いた声と、据わっ
た目で見下ろされて、失言だったことに
気づいた。
「なに。俺とじゃ不満なわけ」
「や、なんていうか───」
そうこうしている間に、辻宮の私室に到
着。
中に入ると、当たり前だけど、前に来た
ときとなんら変わりない風景だった。
そして……。
「あ、あの……」
べ、ベッドが一つしか無いんですけど、
と言おうとして、ああ、と納得。
「私はソファーで寝ればいいのか」
「なんでそうなる」
なるほどね、とソファーに荷物をおろそ
うとした私の首根っこを掴み、呆れたよ
うにそう言った辻宮。
辻宮は私の首根っこを掴んだままで、私
をベッドの方まで引きずった。
え、なに!?