【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
……辻宮の、お父さんだ……。
「失礼します」
辻宮はお父さんにそう頭を下げると、す
たすたと歩き出したので、私も会釈して
その後に続く。
「……秋、こっちに来なさい」
お父さんとは真逆の方に座ろうとした辻
宮に、そう言ったお父さん。
辻宮は何も言わずに、それに従った。
「お嬢さんは……柊美里さんだね?」
「は、はい……」
「秋のパートナーなんだってね。いつも
ありがとう」
少しだけ微笑んだ辻宮のお父さん。
……あれ、意外に優しい……の?
「美里、座れ」
辻宮にそう言われ、慌てて座る。
「……秋、せっかく一緒に朝食を食べる
んだ。もう少し楽しそうにしたらどうな
んだ」
「俺はいつもこんな顔ですよ、社長」