【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
そう言った辻宮の声が、震えていて。
私の肩を、温かいモノが濡らしていくの
を感じながら、辻宮の背中を優しく撫で
てあげた。
「私も……辻宮の傍に居たいし、それに
辻宮の周りの人にも、認めてもらいたい
んだよ」
「あの頑固親父はムリだ」
「そんなことない。私、認めて貰えるま
で頑張る!……お義父さんの所に、行っ
てくるね」
そう言うと、辻宮は私をぎゅう、っと強
く抱き締めた。
「約束しろ。何を言われても、俺との別
れだけは選ぶな……」
「うん、わかった」
辻宮、ごめんね。
私がちゃんと決心出来てなかったせいで
、辻宮を混乱させちゃって。
もう、迷ったりしないから。
……辻宮だけを、見てるから───。
だから、安心して。
……もう、泣かないで……。