【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
外に出ると、山本さんが立っていた。
「美里様……」
「私、辻宮のお父さんに会います。どこ
にいらっしゃいますか?」
私がそう言うと、山本さんはわかってい
たかのように微笑んで、私を案内した。
「───こちらです」
そう言って連れてこられた、書斎。
今までにないくらい、心臓が早鐘を打っ
ている。
だけどもう迷わない。
山本さんが、コンコン、と茶色い扉をノ
ックした。
「──誰だ」
向こう側から聞こえてきた声に、ビクッ
と萎縮してしまった。
「山本でございます。──柊様を、お連
れしました」
「……入れ」