【完】狼ご主人様と子羊ちゃん





外に出ると、山本さんが立っていた。



「美里様……」


「私、辻宮のお父さんに会います。どこ
にいらっしゃいますか?」



私がそう言うと、山本さんはわかってい
たかのように微笑んで、私を案内した。



「───こちらです」



そう言って連れてこられた、書斎。



今までにないくらい、心臓が早鐘を打っ
ている。



だけどもう迷わない。



山本さんが、コンコン、と茶色い扉をノ
ックした。



「──誰だ」



向こう側から聞こえてきた声に、ビクッ
と萎縮してしまった。



「山本でございます。──柊様を、お連
れしました」


「……入れ」




< 411 / 431 >

この作品をシェア

pagetop