【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
だから……。
お願い、だから……。
「私から……取らないで……」
怖い。嫌だ。
辻宮が居なくなっちゃう毎日なんて、た
えられない。
こんなにも好きなの。
こんなに依存しちゃってるの……。
つう、と生暖かいモノが、頬を伝った。
それに気づいて、慌ててうつむく。
「ごめんなさ……っ。私───」
「……大事、だったんだ」
被せられた言葉は、どこか哀しげで…。
私は恐る恐る、顔をあげた。
「秋がすごく大事なんだ。可愛い息子だ
からね。だから、幸せになって欲しいと
思って、厳しくしつけた」
「……。」
「あの子は文句も言わずに、私の言うこ
とを聞いててくれたよ。だけどそれが逆
に、心配だった」