【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
辻宮のお父さんの瞳をまっすぐ見つめて
そう言うと、辻宮のお父さんが、ふ、と
柔らかく口元を緩めた。
「わかった。秋のことも認めよう。秋と
二人で、この会社をもっともっと大きく
してくれ」
「はい!……えっ!?」
大きく頷いてから、ハッとする。
この会社を……って!なんかすごい重大
なこと任されたぞ、これ!!
あわあわと困惑していると、辻宮のお父
さんがまたニッコリ笑い、
「秋も……いつまでも立ち聞きしてない
で、出てきたらどうだ」
とドアの向こう側へ声をかけた。
それはそれで更にパニック。
え、辻宮居るの!?いつから!?あのこ
っ恥ずかしいセリフ、聞かれてたの?
羞恥で顔を真っ赤にさせていると、不機
嫌そうな辻宮が出てきた。
「……美里は、返して貰います」
「ああ、幸せにしてやれよ」