【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
辻宮は、ぐいっと私の腕を引っ張り、立
ち上がらせた。
それから、去り際、辻宮は、お父さんの
方を向くと……、
「……貴方が俺の事を考えていたのはわ
かりました。俺がここまで育ったのも、
貴方のおかげです。ありがとうございま
した」
少し照れたように、ぶっきらぼうにそう
言って、部屋を出た。
辻宮は──きっと、見えてなかったけど
。
辻宮のお父さん、泣きそうになりながら
、笑ってたよ。
辻宮の部屋に戻ると、ぎゅ、と抱きしめ
られた。
「……良かった……」
はあ、と息を吐きながら、そう言った辻
宮。
そんな辻宮の頭を優しく撫でる。