【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「美里……ありがとう」
「ううん。私はなにもしてないよ……」
「いや、お前のおかげ」
そう言ってまた抱き締められる。
うん……なんか、くすぐったい。
いつもよりも辻宮が素直だから……私も
いつもみたいに強気でいられないし。
胸が、キューンって切なく締め付けられ
る。
「美里……好き」
「私も……んっ…」
辻宮の、優しくて甘いキスが降ってくる
。
啄むようなキスに、心の身体も、ぐちゃ
ぐちゃに溶けちゃいそうな錯覚に見舞わ
れる。
「あ……辻宮……っ!キス、しすぎ…」
「……好きだ……」
その日は、何度も愛を囁かれ、何度もキ
スをしてもらった。
とびきり甘くて、どこか切ない夜だった
──……。