【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
いまだにまだ、夢見心地な気分だった。
マーメイド型のウエディングドレスは、
キラキラとラメも入っていて、胸元には
真珠のネックレス。
明るい茶色に染めた髪の毛は、お団子に
して一つにまとめげた。
───コンコン……。
「あ、辻宮様、いらっしゃったんじゃな
い?」
そう言われて、ドキッと跳ねる心臓。
ゆっくりと開く扉に、釘付けになり…。
「──美里」
現れた辻宮に、更に目を奪われた。
黒い燕尾服のようなタキシード。
相変わらず……すごく、素敵だ。
ハッとすると、辻宮まで、何故か驚いた
ように私を見つめていた。
「つ、辻宮……?」
恐る恐る名前を呼べば、辻宮はハッと我
に返り……ふわり、と微笑んだ。