【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
「───秋って、呼べよ」
誰にも聞こえないよう、私にだけ聞こえ
るように囁いた辻宮。
ボッと身体が赤くなる。
「……っ……う…」
「ん?聞こえない」
「……っ秋!」
半ばやけくそになりながらそう叫ぶと、
すごく嬉しそうに笑った辻宮が居たから
、なんでか拍子抜けしてしまった。
ズルい、そんな笑顔。
……いって良かったって、思っちゃうか
ら。
バージンロードをお父さんと歩いている
と、真理や弥生、斗真や洸太が見えた。
皆がニコニコ笑って祝福してくれるのを
見ると、泣きそうになる。