【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
───だけど。
私よりも重症なのが、横に約一名。
「ちょっとお父さん、泣かないでよ?」
涙目になってるお父さんに、そう小声で
囁く。
結婚するって言ったときも、発狂しそう
だったもんね、お父さん……。
そして、いよいよ辻宮──秋の隣へ。
神父さんの言葉を聞きながら、意識はま
ったく別の所に飛んでいた。
ふわふわと、足場がない気分だった。
夢じゃ……無いんだ……。
「──誓いますか?」
「誓います」
そう言うと、次は誓いのキス。
向こう側でお父さんが今にもこっちに飛
び出してきそうなのがちょっと気になり
ながら、秋を見つめた。
秋が、少し微笑む。