【完】狼ご主人様と子羊ちゃん
そんな理由でつねったのかよ!と怒鳴りたい気持ちを必死で抑えた。
「そ、それで……ご用件は?」
「ああ。そうそう。今日一緒に帰るから。逃げんなよ」
辻宮はそう言い残して、自分のクラスに戻っていった。
はん。バカね。逃げんなよって言われて、素直にうなずく私じゃないのよ!
あんたと一緒なんて、勘弁してほしいわ!
「え、美里、まさか逃げるつもり?」
こそこそと明らか怪しい私に、怪訝そうに瑠璃がたずねてきた。