SONG OF TEAR

ため息ひとつ、画面にこぼす。

最近は悲しい曲しかあたしには作れなくなってしまった。こんな唄、歌いたいんじゃないのに…。

「出来た?ちょっと聞かせて」

また葵は勝手にパソコンのマウスを動かし、「再生」ボタンをクリックして完成したばかりの曲を聞いていた。

…こんな曲、認められる訳無いからほっといてほしいのに。

そんな事を考えている矢崎に葵はヘッドホンを外し、あたしの方を見て笑った。

「すげぇな。i Podに入れても良い?タイトルは?」

予想外に彼は泣いていた。ただの泣き虫なのか何なのか。とにかく変な奴だって思う。

「あげるよ、この曲。タイトルは多分"蒼"だから。葵が歌って良いよ」

直感的に音楽を好きそうな感じがしたし、何より彼のベッドの近くにはギターがあったこと。

多分彼も作詞・作曲をしている。

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