SONG OF TEAR

「もうすぐ誕生日なのにね」

小さな声で呟く。葵は何も言ってはくれなかった。涙を拭ってパソコンを取り出して作曲を始める。

今度は生きたいって思いを詰めて、ひたすらあたしは曲を作り続けた。

「絶対、独りで逝かせないから」

ふと聞こえた声に隣を見ても気がつけば隣に葵の姿は無かった。トイレにでも行ったんだろう。

…葵のさっきの無理な笑顔を思い出すと心がズキズキした。

何で、こんなに胸が締め付けられるんだろう。何で、前以上に生きたいって思っちゃってんだろう。

12月の冬。その痛みが恋だということはもう分かっていた。多分会った時から一目惚れだったんだろう。

どうやらあたしは来年に行くことすら出来なさそうです。

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