SONG OF TEAR
「何?これ」
不思議そうな目をしてパラパラとノートをめくってゆく。
「バンドで歌ってくれない?葵が曲つけて…。勝手やけど、お願い」
どうしても、この曲は葵に歌って欲しかった。今のあたしには歌えないから…だから、託した。
「うん。わかった」
こんな我が儘も聞いてくれる所が葵の良い所だけど、自分のプライドが無いのかって思ってしまう。
ギターを弾きながら真剣に曲を作るその姿勢は好きだよ。とても。
でも何時か…その声はあたしだけのものじゃなくなる。その笑顔もあたしだけのものじゃないよね。
分かってるのに、苦しいからキライ。