SONG OF TEAR

「ごめんけど…これ返す。もったいないよ……」

薬指から指輪を外して、葵に差し出す。葵は複雑そうな視線をあたしに向ける。

「何で…

「あたしもうすぐ死んじゃうんだよ!?」

言いかけた言葉を全部言われてしまう前に、理由を言った。それだけなのに何故か悲しかった。

…生きたいのに、あたしは生きれない。

「良いんだよ。絶対…死なせないから。絶対、一人じゃ死なせないから…」

泣き叫ぶあたしを葵は強く抱きしめてくれた。…あたし何かとは違って、体が暖かかった。

「死にたくない。生きたいよ…。葵ともっと一緒に居たい…。こんなに好きになったの初めてなのに…」


神様。…後2年とか、3年とかそんな贅沢は言わない。

だから、せめて1日でも多く葵と居させて。あたしはまだ歌ってたい。奏でてゆきたいの…。

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