SONG OF TEAR

「俺さ、名前葵っていうんだ。16の高校生。呼び捨てで良いよ」

次の日、葵は目覚めると同時にいきなり自己紹介をしてきた。そういえば名前…聞いてなかったんだっけ。

「あたしは…」

「知ってる。雫、だろ?来たときに看護士さんが教えてくれた」

また無邪気に笑う葵。見た目はカッコイいのに、笑顔だけは可愛い。チャラい人だと思ったけど違うのかも、と思った。



「~…♪明日がもしも、僕にないのなら
明日がもしも、君には無いのならずっと
歌を歌いたい 永遠の歌を君に…~♪」

パソコンを開いてヘッドホンを着け、歌いながらメロディーを画面に打ちこんでゆく。

続けていると葵があたしのヘッドホンを外し、キラキラした目でこう言った。

「これ、誰の曲!?浜崎あ〇み?」

「いや。あたしオリジナルしか聞かないし歌わないし」

無視してヘッドホンを取り返し、曲作りを続けてようやく10分くらいして、その曲は完成した。

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