恋物語
◆ 小野崎 亜紀
リリリリリリリ
「…………るさぃ」
朝、か……。
木曜日は嫌い。中途半端な日だから。
のそのそと起き上がり、ゆっくりと洗面所に向かう。
あぁ、アイロンしなきゃ……。
「ふぁ………」
漏れ出す欠伸を手で隠す。誰もいないのに。
鏡の前に立つと、どうしても欠伸と同時に溜め息をついてしまう。
鏡に映る長い黒髪はまるで心霊現象定番の幽霊みたいだし、切りそろえられた前髪は、どう見ても私には似合っていない。
細めのつり上がった目は不機嫌さ丸出しで、見ているだけで嫌になるくらいだ。
なんでこんな顔なんだろう。
体型は自分の努力次第でなんとかなるし、癖も性格も自覚していれば極力直す事ができる。
なのに、これだけは……。