恋物語
ピンポーン
「あ、もうそんな時間」
着替えを高速で済まし、鞄を手にとり玄関に向かう。
ピンポンピンポンピンポーン
うわ、うるさっ。
鍵を開けた瞬間、私が扉を開けるよりも早く、扉は来訪者の手によって開け放たれた。
「おっはよー亜紀!エンジョイしてるか!?」
「まだ一日が始まったばかりですよ……玲」
ハイテンションは相変わらずだなぁ。
元気に跳ねる茶髪のショートヘアの彼女の髪には、幾つものヘアピンがつけられていた。
望月 玲
もちづき れい
私の親友。
「あたしは朝昼晩エンジョイしてんだよ!てか今日も憎たらしい程のサラサラヘアだなおい!」
「歪んだ憎悪を私の髪に向けないでください…玲は普段通りですね、癖毛」
ヘアピンでなんとか保っている髪型。
これはこれで凄い事だと思う。玲は寝相が悪いので、それに比例して寝癖も凄い。
もう凄いというか、酷いのレベルにまで達している。