恋物語
たわいもない会話をしながら、一定の早さで通学路を歩く。
私たちが通う高校は徒歩で通学可能な距離にあり、かなり近い。
なので、すぐに高校の校門が見えてきた。
『静蘭高等学校』
なんの変哲もない、部活動が少し盛んな県立学校。
今日もまた、一日が始まる。
「小野崎さん!好きです!」
生徒玄関に入っての第一声。
………………。
荒んだ心フラッシュバック。
「……ごめんなさい」
そして、お決まりの一言。
背後で玲がにやにやしているのがよくわかる。
………はぁ。
名前もクラスも学年も知らない目の前の男子生徒は一瞬顔を悲しそうに歪ませ、少し俯き、絞るような声を私に向けた。
「……あ、その………か、彼氏、とか、いるの?」
「いません」
何なんだろう。
何故よくも知らない人にこんな質問をされるんだろう。