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序章 切れ者部長の凱旋
切れ者部長の凱旋



「よう!」
『しがない部長に社長が如何なさいましたか?』
「減らず口を…」



 本社から離れたがらない社長がわざわざこっちへ来たのだから良い話しではないだろう。



『ご用件は?しがない部長でも忙しくて』
「専務になるか日本へ帰るか選べ」



 不躾すぎる…。社長だから不躾は不適切か…。



『日本へ帰ります』
「昇進を選ばないのはお前だけだ」
『そうですか』



 若かりし頃は野心に燃えて行く先は専務だ!社長だ!なんて思った。だが、こうして部長でも十分に遣り甲斐を感じている。



「早々だが来月いっぴから宜しく」
『分かりました』
「あと、その気持ち悪い口調やめろ」
『此処は社内ですし、勤務中です』



 こうして話している事自体注目の的なんだから…。



「硬いねぇ」
『社長が緩過ぎるんです』



 やんわりと喫煙室へと誘導する。この時間帯は誰も居なくて助かった。



「俺、煙草止めたんだけど」
『知ってる』
「じゃぁ…」
『お前が居ると皆が気を遣うんだよ』
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