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「外回り全員ミーティングルームへ来て」



 ピクリと全員が一斉に立ち上がる。すっかり怯えた様子だ。



―…
――…
―――…



 聞きしに勝る緩さだ。大得意先を怒らせたのに慌てる様子も無い。慌てるどころか内勤の子に泣き付いた。



 前任を見れば納得だ。だからさっさと切れば良かったんだ。



 相当な雷を落として事の重大さに気付く。新入社員だって此処まで愚かじゃない。



『湯川さん、この書類なんだけど』
「えっと、君島さんに聞いて下さい」



 まただ…。総務の女性社員に何か聞くと必ず君島さんに聞けと言われる。



 その君島は自分の仕事を片付けながら周りのフォローもしている。さっきの外回りが頼ったのも君島だった。



『君島さん』
「はい」



 スッと立ち上がると軽やかにデスクまで来る。



 書類の内容を聞くと簡潔だが事細かに説明してくれた。補足となる資料がある事も教えてくれた。



 彼女だけ纏っている雰囲気、空気が違う理由が納得できた。彼女だけは確実に仕事が出来る。この直感は間違っていない。何故そんな彼女がこの緩い部署に居るのだろうか。



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