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「一応社長ですから」



 仕事に関して妥協しない所は本当に尊敬する。仕事を抜いたら溜息ばかりだ。



「何か聞きたそう」
『君島さんの事だが…』
「何処まで調べた?」



 目つきが急変した。君島の過去はそんなにタブーなのだろうか。



『訳あり社員って君島さんなのか?』
「そうだ…」
『深く調べても構わないか?』
「それについて彼女には口外するな」
『分かった』



 俺の知らないこの10年…本社で何が起きたのだろうか。外に漏れない大きな事があったのかもしれない。



「いつ家に来る?」
『週末にするよ』



 引っ越したままで片付けが終っていない。



 ふと整理されたファイルを見る。昼間より断然分かりやすくなっている。誰に言われたわけでもなく整理していた。



 君島 海という人物に興味が沸いた。



―…
――…
―――…



 部長なのに酷い態度を取ってしまった。


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