Love Rose.
「仕事が順調なら、プライベートはどうなのかと聞かれて、いい年なんだし、結婚相手はいないのか、と」
ぅおぅ、ストレート。
「もしいないのなら、喜んで見合い相手を紹介するよ、と」
……え、それは…困る。
「………」
嫌、絶対に嫌。
お見合いなんてしないで。
そう素直に言えればどんなにいいか。
後3年若ければ言えたんだろうか。
急に勢いを無くして、キュッと強くスーツの衿を掴んでいた手の力も弱くなって、さっきまで近くに見えた専務の顔も、今見えるのは二人の靴。
「…結婚については、…したほうがいいかなって、よく考えます、って」
ねぇ、それって、誰と?
貴方が他の人と笑い合う姿なんて、見たくない。
「……すみれさんは、どう思いますか?…結婚、したほうがいいと思いますか?」
………私に聞かないでよ。
自分で好きにすればいいじゃない!
「…ねぇ、すみれさん?」
専務の手が、下へ向けていた顔を優しく上へと誘導する。
必然的に専務と目が合ってしまって。
涙目になっていて限られた私の視界には、キラキラした笑顔を浮かべる専務が映る。