Love Rose.
今、俺の腕の中にいるのは最愛の人。
「…ぐすっ」
ひっくと、涙を止めようと頑張る彼女が可愛くてたまらない。
泣かせちゃったけど、なんかまぁいいや。
「〜♪」
キューッと抱きしめて、彼女の香りをいっぱい吸い込んでみる。
「……なに、鼻歌なんて歌ってるの」
少しムッとしたような声でそう言うけど、俺の胸元をキュッと掴む手は離れない。
だって、歌っちゃうでしょう。
今の気分はそりゃもう最高。
結婚式はいつがいいだろうか、なるべく早く挙げたいな。
ウェディングドレスはフルオーダメイドで、お色直しは最低でも5回。
片っ端から知り合い呼んで、見せびらかそう。
…いや、いやいや。…大勢の男どもの前に出すのはかなり憚られるぞ。
どうするかはじーっくりと考えるとして。
ハネムーンは、ヨーロッパあたり?
いや、思いきって世界一周?
新居はセキュリティー完璧のところを探して。
「……雪斗さん?」
いつまでも黙っている俺を、心配そうに見上げる彼女。
「…すみません、ぼーっとしてました」
妄想が過ぎてました。なんてさすがに言えない。
「…大丈夫ですか?疲れました?」
「いえ。…でも、もうちょっとこのままでも、いい?」
「……はい」
彼女の柔らかな髪に顔を埋めて想うこと。
幸せや楽しみはたくさんあるけれど。
一番の幸せは、ただ貴女が側にいてくれること。
貴女がいれば、なんだって楽しみになる。
side.雪斗 end.