Love Rose.
おまけ 2
休憩室で一人コーヒーを飲んでいると、後ろから誰かに話し掛けられた。
「隣、いいですか?」
誰だろう?そう思って振り返れば、そこには思わぬ人物。
「!高城、専務…」
貴方がどうしてここに?
「たまに来るんです。皆さんと仲良くなりたいなぁ、なんて」
本当かよ、と一瞬怪訝に思うけど、確かに専務は皆に慕われている。
「そうなんですか。……なにか、飲まないんですか?」
休憩室に来たら、大抵の人間が何かを飲んで一息つく。それが当たり前。
「あぁ、飲み物ね。コーヒーが好きで、こだわりがあるんです。だから戻ってから飲もうと思ってます」
「あぁ、そうなんですか。なんか、さすがですね。こだわりかぁ」
コーヒーにこだわり。
余裕あるなぁ。なんて思って、ん?少し待てよと考えなおす。
戻ってからって、言ったよな?
専務室に戻れば、水木課長が当然いて…、秘書の仕事と言えば、お茶出し…。
いや、こだわってるんだから、専務が自分で入れてる可能性の方が高い。うん。絶対そう。
なんて一人で考えていると。
「すみれさんから聞きました。課長に昇進されたみたいで、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます」
心の中でちょっと、いやかなり嫌な思考に支配されていた自分としては、専務の言葉に驚きと気まずさを覚える。
駄目だよなぁ。専務はやっぱ大人だ。
「精一杯頑張ります」
そう言えば、頼もしいですね。と笑う専務。
「なら、私も頼もしい秘書が出来ましたから、一層頑張らないと。お互い頑張りましょう」
そう言って、せっかくの休憩時間にすみません。失礼しました。と去って行った専務。
「…………戻ったらコーヒー、か」
あぁ、休憩したはずなのに、めちゃめちゃ疲れた。
おまけ 2 end.