王子様×2の事情
~第一章~

プロローグ

ーー遠い夏の記憶。


「由宇夜ちゃんは何がしたい?」

「ゆーやは鬼ごっこ!」


質問に即答した私はそこでハッと口をつぐむ。


「でも、桜はかくれんぼだよね?」


隣にいる自分より小さい妹は私のその言葉にコクリとうなづいた。


「じゃあかくれんぼにしようっ」


すると目の前の男の子は驚いたようにビー玉みたいな瞳を大きく開いた。


「由宇夜ちゃんは鬼ごっこしたいんじゃないの?」


「でも桜がかくれんぼしたいならそれでいいの!

ゆーやかくれんぼも好きだもん」


そう言って強がった私の言葉に、

男の子は笑った。
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