王子様×2の事情


「由宇夜ちゃんは、ばかだなぁ」


まるでおとぎ話の王子様みたいな、

そんな笑顔だった。


「なんで?
ゆーや、バカじゃないもん」


その男の子にバカにされたことが何だか悲しくて、

私は涙目になるのを堪えた。


男の子はそのまま私と桜を見て、

またふわりと笑った。


「今日は鬼ごっこしようよ」


「で、でも…」


「明日かくれんぼしようよっ、ね?」


そう言って彼は桜に目を向けた。


桜はこっくりとうなづいて、


「おにごっこもすき」


と、小さな手で私の手を握った。
< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop