王子様×2の事情
「明日から一緒に遊べなくなるんだ」
綺麗に澄んだ濃紺の瞳が小さく揺れ、
子供心ながらに吸い込まれそうになった。
「ど、どーして?」
「…ごめんね」
「ゆーや、たちと
いっしょに遊んでても楽しくなかった?」
少しくせがかった絹のように細い髪が
左右に舞う。
「じゃあ次の夏休み、
また遊べるよね?」
また、ふるふると小さな頭が振られた。
「じゃ、つぎの、つぎは?」
ふるふる。
「つ、ぎの、つぎのつぎは?」
ふるふる。
「…つぎのつぎのつぎ、の」
「由宇夜ちゃん」
声を制するように男の子はまた首を振った。
「や、だぁ…」
自然に涙が込み上げて来て、
隣で小首を傾げている桜の手を握りしめた。