奴隷戦士
ドォンッと重い音が響く。
男の汚い悲鳴が聞こえた。
銃を握っている手を切り落とし、呆気にとられている二人目のほうへ蓮を振りかざす。
気づいた二人目がぼくに銃口を向けた瞬間、ぼくは彼の太ももを切りつけた。
プシャァッと血が顔に散り、顔をゆがめる。
耳障りなはずの彼らの悲鳴は、ぼくには届かない。
銃の音で鼓膜が破けたかな。
ふと、腕を削ぎ落とした方を見ると、反対の手で銃を手に取ろうとしていたので、手の甲に蓮をぶっ刺す。
やはり、彼が何か言っているが、ぼくには聞こえない。
削ぎ落とされたほうは悶絶しているが、太ももを切りつけた奴は花ちゃんを狙っていたので、さらに切りつけ、倒れたのを見てのどに刃を立てる。
動かなくなったのを確認して、もう一人のほうへと一歩一歩、足を動かす。
「……めてくれ…が、……った!」
距離を詰めるたびに聞こえてくる彼の声。
だけど、知ったこっちゃない。
ここでこいつをぼくがやらないと、花ちゃんが殺されるかもしれない。
それはなんとしてでも避けたかった。
「紐紫朗!」
彼女の、悲鳴に似た声とぼくがとどめを刺す音が、同時だった。
目に蓮を刺したまま、花ちゃんを見ると、彼女は泣きそうな顔をしていた。
どうして、そんな顔をするの?