奴隷戦士
「花ちゃ――」
ぱん。
そんな音がして、不意に視界が赤く染まった。
ぼくはまだ彼女に寄ってないのに。
「…っ、しろッ」
驚いた彼女の顔が。
力を失い、体重を支え切らなくなった足が。
淡い色の着物をを赤く染めながら。
花ちゃんが倒れていく。
「花!?」
駆け寄ろうとしたぼくを止めたのは、後方から、ぼくが動かなくした男二人が来た方向から飛んでくる銃弾だった。
瞬発力には彼女ほどではないが、自信がある。
すぐに相手の懐に入り、喉に刃を立てると動かなくなることを知ったぼくは、実践する。
だが、今回はさっきのようにうまくいかず、なかなか刃が当たらない。
間髪のところでかわされてしまう。
息も上がってきて、手汗もかいてきて、大きな傷はないが、銃弾がかすめた場所から血が出てきている。
ぼくは焦っていた。
早く決着をつけないと、花ちゃんが。
ふと、足元にさっきまで動いていた男が持っていた銃があるのに気付く。
イチか、バチか。
いや、いっそのこと、目の前の男を倒してぼくも死ぬか。
彼女が生きているのならそれでいい。
なんて考えが、脳裏をよぎった。