奴隷戦士


賭けにでた。


ぼくは蓮を前にいる奴に投げた。


相手は咄嗟に蓮を振り払った。


そのわずかなスキに、自分の足元にあった銃を手に取り、見様見真似で引き金を引いた。


ドォンッと先ほどと同じような重い音がした。


運よく銃弾は相手に届き、バタンと倒れた。


反動が肩にきて、痛い。


そんなことよりも、花は?


「花っ!」


今度こそ、俺は花ちゃんに駆け寄り、抱きかかえる。


腕の中の花ちゃんはぐったりしていて、唇は青くなっていた。


淡い着物はもはや真っ赤に染まっていた。


着物は真っ赤なのに、顔や体の色は白色で、それがまたぼくの心をぎゅっとつかんだ。


手を握るが、冷たい。


そんな、嫌だ。


「花!花!」


あぁ、だめだ、視界が。


あぁ、だめだ、思考が。


どんどん悪い方向へと思考が進んでいく。


「花ちゃん!」


一体何度呼んだだろうか。


ゆっくりと、彼女が目を開けた。
< 38 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop