奴隷戦士


彰太郎たちと別れたあと、寺中を探し回ったけど、どこにも鷹介はいなかった。


「鷹介…」


どうしてどこにもいないの。


どこいったの。


鷹介が見つからないことで、ぼくは完全に焦っていた。


だから、きっと背後にぼくを狙う人に気づけなかった。


「うぁっ」


気付いた時は既に時遅し。


頭を殴られ、体に力が入らず、地面に倒れる。


「全く、このガキだけは…手間のかかる…」


「へぇ…こいつが、2人もねえ…いい戦力になるんじゃないか?」


「いや、どうだろうな。薬に当てられて死なれては意味がないぞ」


「あぁ…なるほど」


そんな男二人の会話が聞こえる。


……鷹介…。


体が宙に浮く感覚がする。


男に担がれているのだろう。


彰太郎たちは捕まっていないだろうか。


しかし、あの状況での彼の言葉には驚いた。


いや、あの状況だから、か。


左手に持っていた蓮の太刀が男に取られる。


だめ、それは彼女の形見、ぼくの大事なもの…。


ぼくの。


あぁ、結局ぼくは、誰も守れていないんじゃないのか。


なんて考えていると、だんだん瞼が重たくなって、真っ暗な世界に包まれた。
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