奴隷戦士


どうして、こんなこと。


ぼくはもう分からなくなっていた。


どうしてザクロは、ぼくと彼女たちとを戦わせるのか。


どうして彼女たちは、ぼくと戦うのか。


それがどうして研究のためになるのか。


どうして、ぼくなのか。


「だぁッ」


突然、腹に激痛が走った。


「っ!?」


ギルと呼ばれた彼女が、黒人の彼と同じ短剣を持って、ぼくの腹を刺していた。


「ぐ…」


力が抜けていくのをなんとかこらえて、彼女を突き飛ばした。


彼女は彼の近くで倒れ、荒く息をしている。


ぼくは患部を押さえて、荒い呼吸を整えていたが、全然整わない。


ぼくはまた、人を。


「はっ、はっ、っはぁっ」


怖いのか、自分が恐ろしいのか、悲しいのか、分からないが、涙がまた出ていく。


もう、いやだ、こんなところ。


どうして、こんなところにぼくはいるんだろうか。


「うっ、うえっ…っっ」


嗚咽をもらして、視界が悪い世界に聞こえた、その音。


え。


---グチョ


そして、なにか硬い物をかみ砕くような音、液体をすする音、咀嚼する音。


まるで、食事のような音。


え。


嘘。


その瞳に映ったのは、彼女が彼を食べているところだった。
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