奴隷戦士


鞘を取りに、一歩踏み出すと、何かが割れる音がした。


ドクンと脈打つ音も聞こえた。


「あああああああっぁぁぁぁあ!!!」


それは耐えられないほどの頭痛で、蓮を落とし、両手で頭を押さえる。


まるで、誰かが耳から入っていくような感覚と、その誰かがぼくの脳に無理やり居座っていくような。


まるで、脳を外から来た誰かが占領しているような感覚に襲われ、こみ上げる胃酸を吐いた。


他の人に支配される恐怖か、はたまた、頭痛の痛みに耐えかねてか、涙が止まらない。


でも、そんなことをしても治りはしなかった。


「おい!」


鼻の奥から、耳の奥から、液体が出てくる感覚がした。


ぼくの異変にザクロも気づいたようで、大声で何かを言っているが、痛みで全然聞こえなかった。


叫んでいるはずの、自分の声すら聞こえなかった。
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