奴隷戦士
事の発端は、彰太郎がぼくより体が弱い子に叩いたり、殴ったり、彰太郎たちがする、洗濯の仕事をさせたりしていた時、ぼくが庇ったからだった。
でも、もともと体が弱かった彼は、彰太郎達につけられた傷と持病で冬を越せずに死んでしまった。
「あんたら、お風呂沸いたよ」
鷹介に擦れた肘を水で洗ってもらっている時、お手伝いさんが言った。
「あ、うん。ありがとう」
彼女にそう言って、しゃがんでいた鷹介は立ち上がった。
「紐紫朗」
ぼくはお手伝いさんに名前を呼ばれて、まだ滲んでいる視界を動かす。
ぼやけているおばあさんが目に映った。
「西にある道場を訪ねてみなさい」
お手伝いさんの目は真剣だった。
道場?
道場って体を鍛える場所のこと?
「どうして?」
「それは一番自分が分かってるはずよ」
なぜ僕に道場を勧めるのか、はっきり言わない彼女はそう言って、すこし悲しそうに微笑んだ。