奴隷戦士


「-------!!!」


何て言っているか分からない言葉を発し、ぼくを敵とみなしたそのバケモノ達は、ぼくをすぐ殺そうとするわけでもなく、ぼくと一定の距離を保っていた。


不思議と剣を持つぼくの手は震えていなかった。


不思議と足もすくんではいなかった。


不思議と目をそらしてはいなかった。


「------!」


三体いるうちの一体が、ぼくに向けて咆哮した。


何かの超音波のような甲高い、耳をふさぎたくなるような咆哮だった。


向かってくるので、ぼくとすれ違うタイミングでウサギの首に刃を添えた。


奥深くに刃が刺さり、肉を割く感覚は初めて体験するものだった。


まるで、ぼくが大して動いていないのに、勝手にウサギの首を落としていくようで、とても不思議な感覚だった。


ぼくの近くにウサギの頭が落ちて、体はぼくを通り過ぎて灰になった。


それを見た残りの二体が、ぼくを完全に敵とみなして一斉にぼくをめがけて突進してくる。


「------!!!!」


一体は大きな爪を振りかざし、一体は大きな口を開け、ぼくをねらう。


爪を振りかざしたウサギの大きな隙に、そのウサギの前足から後ろ足へ駆け抜け、それを見た大きく口を開けたウサギが、爪を振りかざしているウサギの腹へ噛みつく。


「-----!!!」


黒い血がほとばしり、思いきり仲間に噛まれて、とっさにその爪で噛んでいるウサギの頭を振り払った。


二体とも大きなダメージを受けたようで、血を流したまま浅く呼吸をしていた。


ぼくはその様子をじっと見ていた。


ふと、視線を感じて、そちらに目をやると、ヤンとザクロがぼくを見ていた。

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