奴隷戦士
*
「あぁ、探したよ」
自分の部屋に戻る途中で、ザクロに出会った。
なんとなくフィーネが誰かに似ていると思ったら、ザクロだと気づいた。
ザクロの黒髪を白色に変えて、色素を薄くしたらフィーネにそっくりだと思う。
「こっちへおいで。他のみんなはもう来ている」
ザクロに連れられ、広い部屋につくと、そこにはウソンもいて、ほかのひとたちもいた。
ぼくを入れてちょうど15人だった。
ウソンを先頭に、一列に並んでいて、ぼくは最後尾だった。
「さぁ、全員そろったね?それではこれから配る栄養剤を飲んでくれ」
ザクロが言うと、そばにいた白衣を着た人たちが、ぼくたちに紫色をした液体が入った透明な湯呑を手渡す。
妙な緊張感があった。
彼らはその湯飲みを神妙な面持ちで見ていた。
「全員にいきわたったね?では、ウソンから飲んでくれ」
ウソンはその指示に従い、湯呑の中の液体を飲み干した。
「あ、ブドウの味」
それを聞いて、途端に空気が軽くなった。
「では次、ナンシーから順に飲んでくれ」
ザクロが指示して、ナンシーが飲んだ途端に彼女がせき込んだ。
隣にいた子が介抱しようとするも、白衣を着た人がそれを制止し、湯呑の中身を飲むよう指示した。
「っは」
急にウソンが吐血し、続いてナンシーも倒れた。
緩んだ空気が一気に張りつめた。
ぼくがいるところではよく見えなかったが、ウソンが痙攣しているように見えた。
一瞬、クルトやジルたちのことが頭をよぎった。
大丈夫、彼らは生きていると、ザクロが言っていた。
大丈夫、ウソン達も死んではいない。
「だいじょう、ぶ」
無意識に言葉にしていたのを隣の人に聞かれたのか、隣の人がぼくをじっと見ていた。
とてもやせ細っていて、足が体重を支えるのも時間の問題ではないかと思うほど、病的な痩せ方だった。
「これが最後かもしれないから言っておくね。ぼくの代わりに生きて、ウサギをこの世から無くして」
彼の腕には注射の痕がたくさんあり、クマができていて、目には生気がないように見えた。
彼の隣の人はずっと、死にたくないと連呼していて、その更に隣からは呻き声やなき声や悲鳴が聞こえるのに、何もしない大人がいるこの空間がとても異様だった。
隣の彼はその紫色の液体を飲むと、のどに手を当て胃液を吐いた。
ぼくもその液体を飲むと、胃の中で何かが暴れて、何かが食道をわたって口の中であばれ、外へ出た。
その何かはぼくの血と体液で、それを見た途端、その量の多さに気が遠くなった。
「あぁ、探したよ」
自分の部屋に戻る途中で、ザクロに出会った。
なんとなくフィーネが誰かに似ていると思ったら、ザクロだと気づいた。
ザクロの黒髪を白色に変えて、色素を薄くしたらフィーネにそっくりだと思う。
「こっちへおいで。他のみんなはもう来ている」
ザクロに連れられ、広い部屋につくと、そこにはウソンもいて、ほかのひとたちもいた。
ぼくを入れてちょうど15人だった。
ウソンを先頭に、一列に並んでいて、ぼくは最後尾だった。
「さぁ、全員そろったね?それではこれから配る栄養剤を飲んでくれ」
ザクロが言うと、そばにいた白衣を着た人たちが、ぼくたちに紫色をした液体が入った透明な湯呑を手渡す。
妙な緊張感があった。
彼らはその湯飲みを神妙な面持ちで見ていた。
「全員にいきわたったね?では、ウソンから飲んでくれ」
ウソンはその指示に従い、湯呑の中の液体を飲み干した。
「あ、ブドウの味」
それを聞いて、途端に空気が軽くなった。
「では次、ナンシーから順に飲んでくれ」
ザクロが指示して、ナンシーが飲んだ途端に彼女がせき込んだ。
隣にいた子が介抱しようとするも、白衣を着た人がそれを制止し、湯呑の中身を飲むよう指示した。
「っは」
急にウソンが吐血し、続いてナンシーも倒れた。
緩んだ空気が一気に張りつめた。
ぼくがいるところではよく見えなかったが、ウソンが痙攣しているように見えた。
一瞬、クルトやジルたちのことが頭をよぎった。
大丈夫、彼らは生きていると、ザクロが言っていた。
大丈夫、ウソン達も死んではいない。
「だいじょう、ぶ」
無意識に言葉にしていたのを隣の人に聞かれたのか、隣の人がぼくをじっと見ていた。
とてもやせ細っていて、足が体重を支えるのも時間の問題ではないかと思うほど、病的な痩せ方だった。
「これが最後かもしれないから言っておくね。ぼくの代わりに生きて、ウサギをこの世から無くして」
彼の腕には注射の痕がたくさんあり、クマができていて、目には生気がないように見えた。
彼の隣の人はずっと、死にたくないと連呼していて、その更に隣からは呻き声やなき声や悲鳴が聞こえるのに、何もしない大人がいるこの空間がとても異様だった。
隣の彼はその紫色の液体を飲むと、のどに手を当て胃液を吐いた。
ぼくもその液体を飲むと、胃の中で何かが暴れて、何かが食道をわたって口の中であばれ、外へ出た。
その何かはぼくの血と体液で、それを見た途端、その量の多さに気が遠くなった。