奴隷戦士


目を開けると、やはり裸の上に白い布がかけてあって、たくさんの管に自分の体がつながれてあって、天井まである大きな鏡のある部屋に寝かされていた。


これで何度目だろうか。


前回と違うのは、頭が重たいことと、なぜか体がしんどいことだった。


重たい体をひきずってこの部屋を出ると、ヤンと目が合った。


眉を下げて不安そうな顔をしながら、ぺたぺたとぼくの体に触っては、異常がないか確かめる。


「おお、体は大丈夫か」


この人にとても心配されたのはこれが初めてのような気がする。


でも、答える気にはならなかった。


「そうか、無事か」


何も言わないぼくをおぶってヤンは、庭園へ出た。


フィーネと出会った場所とはまた別の、噴水がある庭だった。


「淡路の剣はどうだ?」


ヤンが稽古の結果を聞いている。


淡路の剣技を使えと言われて、どれくらい経っただろうか。


たくさん時間が経った気がするし、そうでもない気もする。


なにも答えたくなくて、黙る。


ヤンと目を合わせるのが怖くて、黙って噴水を見た。


実際、淡路の剣なんて使いたくない。


でも、使わないとあのウサギと呼ばれる化け物を倒せないと感じた。
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