奴隷戦士



それから一週間くらい経ったとき、教師がまた来た。


ここは一度、熱心に学ぶ彰太郎たちに邪魔してやろうと思う。


「なんや、紐紫朗。わっるい顔しとるで~」


横にいた鷹介がニヤニヤしながら、なにするん?と、彼も悪い顔をしながらぼくに尋ねる。


「ほら、あのヒト、池にいる鯉を綺麗だって言って、一緒に泳ぎたいとか言ってたでしょ?」


「あぁ、たしか一か月くらい前そんなん言いよったっけなぁ…あんま覚えてないけど」


「だから、落として一緒に泳がせてあげるの。始まる前に」


「え、習う前に落とすん?」


お前もそんなこと考えるんか、とでも言いたげに、彼はぼくに聞き、それにぼくは頷いた。


「別にええけど、ぜったい怒られるで」


ニヤニヤしながら鷹介が楽しそうに言う。


「ちょっとした仕返しだよ。それじゃ、やろうか」


「うはー、あいつどんな反応するかな」


特に段取りは決めてないけど、ぼくと鷹介はすぐにその教師の元へウキウキしているのを隠しながら行った。
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